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「え?二人が囮…?」
「はい。囮です」
数時間前。
ルーキーの元へ飛雪と勇介が向かった後。
リンクはそれぞれに武器を持たせ、二人の後を追っていた。
「ルキに話し掛けてきたという人物に心当たりがあったので。…人物の特定までは出来ませんでしたが、太陽の人物には違いないでしょう」
「えっ…じゃあどうしてルーキーはあっさり着いて行っちゃったの?」
「場所が悪いと思ったんでしょうね。流石に」
「あ…そっか…」
そんな会話を交わしながら、ざかざかと人込みを掻き分けけて五人は歩いていた。
「…で、リンク。囮って…大丈夫なの?」
足を休める事無く動かすリンクに、心配そうに瞳が言った。
初めは二人だけであっさり行かせたリンクに疑問を持ったのだが、今は囮という単語が気になるらしい。
そんな瞳の様子を見て、リンクはにっこりと笑った。
「大丈夫ですよ。ルキが何とかするでしょうし…それに今の太陽の従者は馬鹿で有名なんで、あっさり済みますよ」
「馬鹿…」
「はい、馬鹿です」
そう黒い空気を漂わせながら笑うと、リンクは再び前を向いた。
そしてそれを聞いた瞳達は、何やらリンクの底の部分が見えた気がして大人しく黙って彼の後へと続いた。
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