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「真、明日十時からやろ?はよ寝んと遅刻してしまうで?」
亮の口調は柔らかく甘い。亮の声を聞いて安心したのか急に眠気が押し寄せてきた。
「亮、愛してる」
「真…もしかして酔ってる?」
「飲んでへんわ、アホ。ただ言いたくなったんや」
「んじゃ、寝ぼけとんのとちゃう?」
笑いが混じった亮の声に真はなんとなくからかわれている気がした。
「もぉええわ。寝る!」
切ボタンを押そうとした瞬間、受話器越しの亮の言葉。
『俺も、愛してる……オヤスミ』
そして切れた。
手にした携帯電話を見つめ真はあぁそうかと思った。
愛の言葉は幾度も交わしている。口付けもそれ以上の行為も……
でもいつも側にいたから互いの顔を見合わせながら言うのが当たり前になっていた。
電話でこういった会話をしたことがなかったので妙に新鮮な感じがしたのだ。
(たまには、こういうのもええかもな)
真はそしてゆっくりと眠りに就いた。
朝、真は妙にすっきりとした感じがした。電話のおかげだろうか?
(あれ?そういや亮。何で俺の今日の撮影時間知ってたんや?)
ふと疑問に思った瞬間。
「真!」
聞き慣れた声。真はハッと声の方に目を向けた。
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