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しばらくして、真昼さんがバックヤードから出てきて、その後をスーツ姿の男の人がついて来た。
「カッコイイ!」
香奈が大声で叫ぶと、周りにいた客達が振り返り、店内は更に騒然となった。
「キャーッ!」
「モデルのasahiじゃん!」
「本物だぁ!」
「超カッコイイ!」
女の子達の叫びにも近い黄色い悲鳴が飛び交う中、そんなことをもろともせず、あたしたちの前までくると、丁寧に名刺を差し出して言った。
「いらっしゃいませ。真昼の友達?初めまして。川嶋朝陽(あさひ)です。」
身長148センチのあたしが首を限界まで上げて、見上げなければいけないほど長身の朝陽は、細身のスーツをビシッと着こなし、黒い短めの髪をワックスでツンツンに立たせていて、清潔感のある大人の男を感じさせた。
爽やかな笑顔に、甘いマスク。
その場にいる誰もが彼の佇まいに息を飲んで見つめた。
すかさず香奈が、自己紹介をし、手を差し出す。
朝陽はその手を微笑んで握り返すと、
突然、立ち止まった。
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