6260人が本棚に入れています
本棚に追加
/254ページ
それから俺は、夜空を実家へ送り届け、自分も自宅マンションへ戻り、
今日の夢のような出来事を何度も何度も思い返していた。
助手席に座る緊張ぎみの横顔。
口いっぱいにパスタを頬張る姿。
友達との談笑に満面の笑みで答えるしぐさ。
支払いをしようと差し出した手に微かに触れた温もり。
細い手首と、俺の腕にすっぽりおさまる小さな柔らかい体。
そして、突然の俺の告白に返事をしたときの、驚いたような、少し照れたような、優しい笑顔。
彼女は、俺の恋人に、なったんだ。
体が火照って、顔が真っ赤になっていくのがわかった。
「…翔子ぉ。」
俺は、にやけの止まらない顔を枕に沈めた。
.
最初のコメントを投稿しよう!