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「おはよっ!野仲っち!」
「おはよう。北見っち。」
彼女は厨房担当の二つ上のフリーター。夢はパティシエ。何かと噂が好きな人。
「ねーねー,知ってる?今度入ってくる人,イケメンらしーよ。なんか今井 翼に似てるって噂だよあたし好きなんだぁ。翼くんもう抱きしめてーって感じ?
フードだどいいなぁ。
彼女いるのかな?
楽しみー!
あーー?!
あれっ?結ちゃんの下着可愛い!
触らせて♪」
おもむろに胸を掴んでくる。
「可愛いでしょ。これ高かったんだょ。あたしの好きなブランドが新しく出したの。」
「ふーん。あたし見せる人いないし。でも,新しい翼君に。
きゃっ!野仲っちのスケベ!」
あたしも見せる人なんかいない。でも下着は女心としては大切なものなんだ。
ロッカーで着替えを終え,たわいのない話をしながらエレベーターをおりると聞き慣れないイントネーションの声が・・。
「おはようございます。」
バックヤードでいつもの様に一礼。
恐る恐る店内を覗いてると修司さんが笑顔で手招きしてくれる。
きゃぁ,嬉しい。
小走りして近寄ると,隣に金髪の男の子が立っていた。
「今日から働いてくれる加藤 陽輔君です。宜しくね。」
「加藤です。よろしゅうお願いします。」
関西弁だぁ。初めて聞いた。
「野仲です。宜しくお願いします。」
「加藤君もミュージシャンなんだそうだ。趣味が合うんじゃないかな。ということで店内一緒に廻って大まかな所教えて上げてくれませんか?」
その笑顔が堪らない。嫌だとはいえません。
「はい!じゃこっちから」
「おおきに。お手柔らかに。」
そして店内を丁寧説明しながら廻っていた。
「ここがお冷やとお通しのある場所で・・」
「野仲・・さんだっけ?
下の名前はなんちゅうん?」
「えっ?あぁ,ゆいかです。結ぶ花って書いて結花。よくゆかって間違われます。」
「結花かぁ,えぇ名前やね。ほいなら結ちゃん。質問タイム。バンドやってるん?ボーカル?」
「えっ?なんでわかるんですか?ボーカルです。」
「やろっ?そうやろ?声でかいしなぁ。あと修さんにホの字やろ。」
!?なんで?あたしは黙ってしまった。
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