292人が本棚に入れています
本棚に追加
/83ページ
青年は、雨に当ったのかかなり塗れていた。
そのままカウンターへと進むと、店員に何かを話して席に腰掛けた。
カウンターまでの距離が有り過ぎて会話は聞こえない。
その店では、彼の姿は店内の目を集中させた。
それ程までに彼は余りにも無防備だった。
暫く観察したが、彼はこの店に偶数足を踏入れた感じだった。
唯、飲みたくて、唯、酔いたくて、そんな感じだった。
カウンターの毅と二言三言話すと、彼は今にも泣き出しそうな雰囲気がした。
僕の目は彼に吸寄せられる様に離す事が出来なかった。
―羽柴 遼―
後からこの名を知る事になった。
最初のコメントを投稿しよう!