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―卒業式当日
【前川、卒業式が終わったら、高等部の校舎裏にこい。】
朝、下駄箱の中に入っていた手紙。
宛名は無いけど、おそらく蒼牙…
そしてもう一枚…
今度は薄いピンク色の甘い香りのする封筒…
その中には、便箋【ビンセン】と交通安全と書かれたお守りが入っていた…
【慶次へ
アタシ、自分の気持ちを整理したいの。
だから、貴方と少し距離をおきます。
ケンカ…しすぎちゃダメよ。】
「なんで、交通安全なんだよ?
バカだなぁ~!!アイツ!!
…バカだよなぁ~…」
便箋に大きな染みが出来る…
ポツリ、ポツリと、次第に染みの数が増えていく…
ああ、オレは泣いてるんだ…オレ、ホントにアイツの事が大好きなんだ…
「…ゴメンなぁ…茜…
ホントにゴメン…」
お守りをギュッと握りしめながら、涙を拭う。
いつか、アイツを迎えにいきたい…
でも、オレ一人で学園を掌握するのは不可能だ…
オレ並…イヤ、オレ以上の器を持ったヤツが居さえすれば…
でもそれは万に一つも無い…こんな、腰抜けお坊っちゃんしかいない学園には…
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