もう一つの夏祭り

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「はい、これ北条の分ね」 「ありがと… 意外と優しいじゃない… 松平ってそんなヤツだっけ?」 ペロリとリンゴ飴を舐めながら北条が質問してきた。 「さぁね。 自分でも良くわからない… でも、最近の自分は結構好きかな? 昔の自分は…嫌いだ…」 チリチリと顔に熱を与えてくる裸電球…空は真っ暗だが、その光が北条の顔をくっきりと照らし出した。 「ふぅ~ん…奇遇ね。 私も昔の自分より今の自分の方が好きよ… 葵さまと出会って、アナタ達と話すようになってから、心にゆとりが出来たような気がするの…」 心にゆとりか… 確かにそうかもしれない… 「…なんて言うか、葵が学園に来てからみんな変わったよね… ボクや北条…ケンカ三昧の慶次に、良く笑うようになった神無月さん…」 口の中に甘い蜜が広がる… でも、悪くない味だ…心が落ち着く… それにこうやって北条と話すのも… 「…悪くない…かな?」 ボソッとそう呟く… 当然声は、おはやしの音や、人混みの雑踏によってかきけされた… 「そうね…美姫は変わったよね…前川もさ… つうか、私たち5人がくっつくなんて、良く考えるとあり得ないことよね!!」
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