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嫌な予感に振り返ると
そこには、
『やっと見つけたー』
知らない修道服姿の奴が立っていた。
…倒れる麗の上に。
『…誰?』
『あっ…あおいしゃまっ//』
途端に怯えたような声で叫んだルキに目線を落とすと
葵と呼んだ奴を指差して
カタカタと震えた。
『ルキ、今日こそ神の裁きを受けよーなぁーVv』
ニコリと笑って懐からロザリオを出した葵に
ルキは火のついたように泣き出した
『ゃぁああああッ…はりつけッいやだぁあッ』
あまりの泣き様に俺も顔をしかめながら葵に向き直った。
『で、どちら様?』
怪訝そうな顔で見つめられて焦ったのか、
『あ…私、こういう者です』といいながら一枚のIDカードを取り出した。
そこに書かれていたのは
《異端審問官:城山 葵》
『異端審問官ね…』
ぽつりと呟いた俺に葵はコクリと頷いて
『そう。貴方の腕の中に居る子は悪魔の子…許す訳にはいかやんの。やから…俺に渡して…?』
悲壮な顔でそう告げた。
『悪いけど。契約だから。』
離れたくても
ルキが願い事を全て叶えるまで
俺はルキから離れられない。
『そう、ゃの…』
俯いた葵に、
『悪いな』
と苦笑すれば
『なら葵は…代わりにこいつ連れて帰ります。』
と今まで踏み台にしていた麗をズルズルと引き摺りながら玄関へと向かった。
『そいつどうすんの?』
ふと興味が沸いて、
聞いてみたら
『はりつけ火あぶり。』
当然でしょ?
という顔で返された。
『そっか』
顔を引きつらせて笑う俺に
『ルキは諦めやんよVv』
とウインクをして
異端審問官は去って行った。
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