はじまり

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僕はこういう時にどう声をかけていいのかと迷ってしまう。 結局、何も言う事も無く僕は姉ちゃんを見つめていた。 彼女はうつ向いたまま、服の裾をギュッと掴んでいる。 「ごめん……、私……帰るね」 突然、そう言い残して彼女は走り去った。 祭見物の人、人、人……。 僕は直ぐに後を追ったが見失ってしまい、仕方なく自分の家に帰った。 彼女の家に行く事は母から禁じられていた。 彼女の父が昔うちに来て暴れていったから。
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