孤独の街

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青い空、照り付ける太陽の光。遠くは暑さでぼやけてよく見えないが、その気も遠くなるような道を睨みながら一人歩く人影が見える。 彼女の名はシャロン・ルナルド。長い緑のかかった黒髪をポニーテールにしている。顔立ちは東洋人だが、目の色が深い海のような色をしているので、西洋人にも見える。彼女の父親がイギリス人のためである。父親は私が生まれる前に病気で死んだため、顔も見たことない。 私の母もある事件が切っ掛けで死に、弟も行方不明になってしまったのである。だから私は伝説である『聖杯の種』と呼ばれるこの世で最も美しいと呼ばれる種を探し、こんな砂漠の中、一人で歩いてきたのだ。 『聖杯の種』は伝説の代物と呼ばれるほど、見つけた者も指で数えられるぐらいで、情報もかなり少ない。 これまで、大きな図書館で調べたり、世界各国を回って情報をかき集めたが、今のところ、中国で『聖杯の種』伝説に結びのある『七日間戦争』だけである。アジアで調べていたところにアフリカにある小さな街に情報があると聞き、やってきたが、まだ街には着かない。 新しい地図にはその街はのってなくて、古い地図を探してここまできたのだ。 「ぁーもォ!暑くて死ぬゥゥ!!まだ死なないけどォ!!」 叫ぶぐらいならまだ大丈夫だろう。 とぼとぼ歩いて5時間。やっと街についた。その時にはもう日が沈んでいて辺りは暗い。 いや、暗いのは夜だからではない。まだ日が沈んだばかりだから、空はまだ少し明るい。 そう、街には明かりが灯っていないのだ。 家にも、街灯にも。 「えー…。どうなってんだよォ」 疲れ果てた体をひっぱるように前にただ進んでいくシャロン。 とりあえず人を探してみることにした。 この街には中心に古びた教会があり、地図にはのってないがかなり大きな街である。 とりあえずシャロンは教会の入口にある階段に腰をおろした。 もう月がでてて、冷たい風も頬にあたって気持ちがいいが、少し肌寒い。 はやく今日泊まれる場所を見つけないと野宿ということになってしまう。 シャロンは野宿は嫌という気力で立ち上がり、頑張れと小声で自分に言い聞かせると階段を降りた。その時だった。 カタンと小さな音がシャロンの耳に届いた。
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