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力なくカーペットに仰向けになると、見上げた天井がぼやけ、頬を幾筋もの涙が伝い落ちた。
テツヤと一緒に暮らした2DK。元々は、上京して一人暮らしを始めた私の部屋だった。去年、成り行きでテツヤと暮らすことになるまでは。
出会った二年前から、テツヤは定職にもつかずにふらふらしていたけど、私と会う時だけは紳士的なひとだと思っていた。実際彼は優しかったし、愛されてると感じる瞬間だってたくさんあった。
でも……半年くらい前から、彼のどこかよそよそしい態度に気が付いた。頻繁な外泊、知らない香水の香り。服の趣味もどことなく変わっていった。
だけど、私はそんな彼を問い詰めはしなかった。
――ソファの上には、主を失ったジャケットとGパンが、我が物顔で寝そべっている。
「こんなもの……!」
拾い上げ、ドアのほうへ投げつける。
「俺の荷物、捨てていいから」
吐き捨てるように呟いた、彼の言葉。
元々、後から転がり込んできた彼の荷物は少なかった。
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