消えない傷

始まった

娘は可愛いのになんでそんなにブスなの？

どうしてデブなの？
母親に捨てられた子だよ
豆ダヌキみたいな顔だね
胸が大きいのは馬鹿な証拠だよ。

クリスマスは最悪な日。

鬼婆の部屋を通過し自分の部屋に行こうとしたら呼ばれた。

『見て、可愛いコートでしょ。ママの可愛い娘にあげるの』と。
さらに、『あんたは、母親に捨てられた子供だからプレゼントなんて贈られてこないでしょ、あんたはブスだから似合わない』と。

実母は家出して一度だけ学校に来た。
父親も知っていたのだろう。二足だけ靴を買ってくれた。
黒いチェックの靴と黒いエナメルの靴を。
ボロボロになるまで履いた。鬼婆に捨てられた。

父親の勤めていた会社のクリスマス会があった。
朝から早く帰宅しろと言われたが、父親が5時30頃帰宅するとママに言っていたから、その時間に合わせるように帰宅した。

だけど、まだ帰宅してなかった。
この日は金曜日。
父親がいる日はママのままだから、叩かれない。
だけど、玄関を開けたら木のハンガーで殴られた

初めて鼻に大きなあざができた。
鼻血も出た。
これで、父親にばれる。痛みより嬉しくて。

父親が帰宅して聞いてきた。
『お前、鼻が腫れてるぞ
どうした？』
鬼婆は私を睨んでいた。
『下校途中に野良犬に追い掛けられて、人の家の自転車にぶつかった』と私。何故か嘘をついた。
『またお前は人に迷惑をかけるな』で終わり。

絶望だと思った。

空腹をしのぐため私はよく他人の家の果物を盗んだ。秋は沢山実る。
盗んでごめんなさい。

得にかきが好きだった。