始まった

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ママが別人になった。 あんなに優しかった人は私から見たら鬼婆だ。 怖かった。 夏休み、冬休み、春休みと学校が休みの日は大嫌いだった。 7時45分に父親が会社に行く。 今までいい母親が鬼婆になる時間でもある。 意味もなく、謝りなさいと言われて。 勿論私は、謝らない。 悪い事をしてないから。 まず頭を叩かれ、蹴られ外に出され。 夏休みはまだ寒くないし日差しも弱い。 ママは掃除を始める。 私は、飼っていた犬と遊び出す。 すかさずママが見に来る 謝れ。謝れ。ごめんなさいは?と お昼は食べた記憶がない 私は外の水道で水をよく飲んだ 午後は、学校のプールに毎日行った。 父親が帰宅する6時30分になる5分前に鬼婆から、ママに戻る。 優しい父親と優しいママなんて理想な家族なのか テーブルには沢山のご飯一日二食だから、夜はおかわりをする。 朝ご飯しか食べてないし そんな私を父親はよく食べるたくましい娘だと勘違いしていた。 冬休みは最悪。 寒い。プールもない。 飼い犬は小屋から出ない そんな時はボイラーの横に立って寒さをしのいだ 一度隣のおばちゃんが話しかけてくれた。 鬼婆はすぐ来て、 押し殺した声で 『見えない場所に立て』 従う事で自分自身を守っていた。 友達が遊びに来てくれるのが救い。 ばれる事が怖かったのだろう。 その時もママになる。 友達の家でオヤツがでると空腹がしのげる。 春休みは一番好き。 短い、さほど寒くない。 ボイラーの定位置に立つのが日課。 近所にばれない理由はボイラーの横がしかくだからだ。
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