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ひらり.蝶が舞っていたから追いかけてみた.
昼休み.人通りが殆ど無い体育館裏.あなたが,煙草を吸うなんて.
「見つかっちゃったね.」
「何で…時雨さん…」
それは,優等生が悪ぶってみたというよりも,優等生のふりをした不良という感じだった. 「チクる気?」
時雨が言う.梨恵は首を横に振る.
「そう.」
ふっと,何か企むような含み笑い.どこかで見たような気もする.
何も言わずに立っていたら時雨が言った.
「ていうか,あんた誰だっけ.同じクラスなのは分かるんだけど.」
もう6月も終わろうとしているころだったにもかかわらず,時雨が言う.
「菅野梨恵だけど.」
「あ,思い出した.梨恵はコンビニでバイトしてるよね.」
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