プロローグ

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 電車は其れ程混んではなかった.椅子に座り,溜め息をつく.向かい側の席に,メールを打つ今時の女の子,少し離れた所に,音楽を聞いている其れ程目立たない様な男の子,サラリーマンが3人,居るだけだった.  秋の夕方は何と無く好きだ.ぼんやりと窓の外を眺めながら,そう思った.  ふと,右肩に重みを感じ右を見遣る.疲れたのだろうか,規則正しい呼吸.  終点迄,あと2駅.  愛しいあなたとの幸せな時間も,もうすぐ終わって仕舞う.  窓の外は茜色だ.あの時も,夕焼け空が綺麗だった,なんて思い出す.あなたは,覚えていますか..
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