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 華奢なフレームの眼鏡,三つ編み,膝丈スカート,白靴下.校則を守る,真面目で勤勉な生徒.  (時雨 魅月[しぐれ みずき])  確か,そんな名前だった.席が,斜め前な事もあり,よく目が行く.最近では,授業中以外でも見て仕舞う.  「梨恵?りーえー聞いてる?」  「…っごめん…何の話だっけ?」  友達と話しているときも.何故か,彼女を見て仕舞う.彼女の物腰の柔らかさ,気だるさの見え隠れするような部分に惹かれていたのかもしれない.とても同い年には見えなかった.同時に,遠い存在の人,という印象を梨恵は持っていた.
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