事実は小説より奇なり

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おはよう亘!今朝はよく眠れたかい!? 「…それはあれか?一睡も出来ていない俺に対する嫌みか?」 鏡見た?目の下の隈すごいことになってるよ。 「あいにく昨日あんなの見てスヤスヤ眠れるほど図太い神経は持ち合わせとらん…」 まぁかなり衝撃的ではあったね。 「まさかあんなヘンテコ紙切れ使いが実在するとはなぁ…」 え~っと、それはフリ?『お前も特異能力持ってるだろ~』って突っ込んほしいっていうフリ? 「一体当麻って何者なんだ…?」 あ、無視?ま、いいけどさ。とりあえず、回想スタート。 † 闇夜を切り裂く強烈な閃光。遥か遠くまで届きそうな轟音。 「すげぇ…」 思わずそう呟く亘に、撫子が振り返った。 「ケガ無い?」 あくまでも無表情でそう聞いてきた。 「あ、あぁ」 「そう」 くるっと再び前を向くと、撫子は男がついさっきまでいた場所を通り越し、腹が食い破られて血まみれになっている女性の死体に歩み寄った。 「う、おえっぷ…」 鼻をつく血と肉の匂い。亘に比べると物怖じしない娘だね。 「そ、それはここで言う感想じゃねぇ!」 「助けられなくてごめんなさい。安らかに眠ってね」 また一枚お札を取り出した。 「霊符『浄』」 撫子が女性に向かってお札をピッと弾いた。またさっきのとは違う、何かこう、優しい感じに光り始めた。 「我願う。汝、来世に幸有らんことを…」 目をつぶり、そうそっと呟く。…ねぇ、亘。そんなに口開きっぱなしにしてたら虫入ってくるよ。 「お、おっと」 慌てて口を閉じると、撫子が歩み寄ってきた。 「ねぇ」 相変わらず無表情で話しかけてくる。 「な、何だ?」 「見てた?」 「…何を?」 「全部」 「……………」 すごいね、真顔で言い切ったよ彼女。 「見てたの?」 「見てたに決まってるわぁぁぁ!!てかさっき俺に大丈夫?って聞いただろぉぉぉ!!」 「あ、そっか」 無表情にポンっと手を叩く。この娘天然?いや~ポイント高いねぇ。 「お前らなぁ~…!」 その言葉に、撫子の目が光った。いや、実際に光ったわけじゃないけどね。 「お前『ら』?」
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