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「だめなのです!ご主人様をいじめないで下さい!!」
聞き慣れた甲高い声が、聞こえるのと同じくして、黒い影が俺にのし掛かっている女に、勢い良くタックルをかます。
「――ちょっと」
そのあまりの勢いに、黒い影(=うる)と女はもつれながらベッドから転げ落ちた。
〝ぼんっつ〟
不意に、うるが変身するような音が響き渡り、部屋には見知らぬ女が、更に一人増えていた。
「‥――いったぁ~い。もお、おしり打っちゃったじゃない!」
妖艶な大人の雰囲気を宿していたはずの女は、十歳以上も若返った様子で、打ち付けた臀部を擦っている。
それでも、その色気に遜色はないと思う。
俺は顕らかに変わった女の姿を、未だ指の感触が残る首を擦りながらも観察する。
「……姉さま。大丈夫?」
その傍らには、突如現われたスレンダーな体躯の少女が、心配そうに立っていた。
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