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「本当に残念だわ。もう少しで極上の精気を奪えたのに!」
ムーアと呼ばれた女は、俺の方にちらちらと視線を寄越しながら、がっくりと肩を落として見せる。
「だ、だめです!ご主人様は、わたくしの恩人なのです。いくらお二人でも、危害を加えるお心積もりなら許しませんから!」
懸命に、うるは俺を庇い立てた。
緊迫した空気が流れる。
「――ふう、降参よ。もう、あんな強引なことはしないわ。……それに、うるるんの恩人じゃ仕方がないもの」
「ありがとうございます!」
手を軽く宙に浮かせ、ムーアが降参のポーズをとって見せると、緊張していたうるの面差しは破顔した。
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