眠り羊を抱き締めて……

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彼女の名前は〝うる〟。   俺が偶然に手に入れた、ぬいぐるみだったものだ。   俺が通う大学近くの雑貨屋で、見切り品としてワゴンに陳列されていた処を、譲り受けたのだ。   薄汚れていて、お世辞にも売り物に見えないそれを、どうして譲り受けようと思ったのか……   俺にも理由は判らない。   いい歳をした男の俺が、ただ、そのまま捨てられるのが可哀相だと思ったんだ。   うるは処分される寸前のところを助けた俺に、恩でも感じたのか、ご主人様と慕ってくる。   ――こうして、 奇妙な少女との同居生活が始まった訳で――   だが、それだけで終わらなかったんだ。   うるとの甘酸っぱい生活を夢見ていた俺に、魔の手はもう既に迫っていた。  
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