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「――――!!」
真夜中、俺は追い立てられるような恐怖と、苦しさに飛び起きた。
躰中、ぐっしょりと汗をかいている為か、パジャマが肌にまとわりついて気持ち悪い。
取り立てて自慢できる特技も、容姿も持たない俺に、うるは敬意を籠めて接してくれる。
「調子はどうですか?」
俺の着替えを手伝いながらも、心配そうに、うるは顔を覗き込んでくる。
その名の由来ともなった、潤んだ大粒の眸がこちらを見つめていた。
「ああ。うるのおかげで、少し楽になったよ」
俺はうるの心配を拭おうと、空元気を出して見せた。
うるの表情を曇らせておきたくなかった、その笑顔が俺は好きなのだから。
洗いたてのさらさらとした感触の所為だろうか、着替えを済ませただけで、随分と俺の心は軽くなった。
とにかく、あのおぞましい感覚を忘れようと、俺は人型状態のうるの膝に頭を埋める。
その弾力と温もりに包まれながら、再び眠りに落ちた――‥
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