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数週の間、夢見がよく、俺は悪夢の存在を記憶の端に追いやっていた。
専らの問題は、うるとの生活の方にあった訳で。
従順で素直過ぎるうるに、俺は戸惑いを覚えていた。
昨日などは――‥、
「なあ、うる。今日は一緒に風呂でも入るか?」
俺はコンビニ弁当で手軽に済ませた夕飯の後に、軽い気持ちで告げた。
俺としては、ちょっとした冗談のつもりだった。
頬を真っ赤に染め、焦るうるの姿でも見てやろうと悪戯心を起こした訳。
しかし、その解答は予想外なもの。
「……はい。お背中お流し致します」
柔らかな笑みを浮かべ、ごく自然に云い放つ。
「――うそだろ?!」
想像とは反対に、俺が頬を真っ赤に染めることになった。
――で、バスタオルを巻いただけの悩ましい姿のうると、俺は、ど緊張の混浴タイムを味わった。
この後俺が、目のやり場に困り果て、逆上せて倒れたとしても仕方のない話だと思う。
決して、俺に意気地がない所為ではない。
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