眠り羊を抱き締めて……

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その日は、10月も差し迫ったこの季節には珍しい程に、夏が蒸し返したように寝苦しい夜だった。   じっとりと額に汗が滲み、息苦しさを感じた。     こんな日に限って、うるはいない。     直ぐに帰ります、と言い残し出掛けたきり……まだ戻らない。   俺は改めて、独り寝の淋しさを思い知らされていた。   その相手が、ぬいぐるみに変身する人外の生きものだとしても――だ。
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