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「―――ぐうっ?!!!」
急な圧迫感に目を覚ますと、ベッド上に仰向けに寝ている俺に、女が馬乗りになっていた。
女のリアルな重みが、俺の腹に掛かっている。
そのやけに白い指先は、あの夢と同様に、俺の首に添えられている。
「あら、起きてしまったの?……仕方のない子、悪い子にはお仕置きが必要かしら」
女は紅い舌を覗かせ、愉しげにルージュの引かれた口元を歪める。
その声音は、夢と同じように弾む。
俺はその苦しさから、奇妙な唸り声を上げるのが精一杯だった。
――俺はこの見も知らない女に、このまま黙って殺されるしかないのか?
薄れていく意識の中、俺を殺そうとする女の、顕らかな興奮を唇から還された。
――女の唇と、濃厚なキスの感触だけが、
俺の最後の感覚を現実に繋ぎ止めていた――‥
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