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『リン…』 今日も又、この耳に届く鈴の音。
(柄でもないやろうにな)
呟く声もかきけされて、あんたが歩く度、揺れるように跳ねては可愛いらしく響くその音。
「……この音もいつまで
やろうな………」並んでふいにこう呟くと、あんたはいつもの怪訝そうな顔でチラリとこちらを見て、すぐに前を向く。
何事にも流されず、常に強さを望み勇ましいその表情
あんたは変わらんのかな…僕が遠いトコに行ってしもうても。
願うなら…変わらんままで居てほしい
もっと我が儘いうなら、
このままずっと…鈴の音を聞いていたい
無理だと分かっていながらも疼く小さな衝動
…ソレを抑えるためにあんたからこっそり奪った鈴は僕の掌の中で儚げに『チリリ』と鳴った―
…僕の仮面の下に隠した小さな小さな秘密―
END
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