夢、うつつ

安雄

ピチャン❗
｢な、なん？｣

つうっ、
と飛び去る鳥の影…

｢なんだよぉ。鳥の奴、フンして行きやがった…あーあ、キッタネー｣

小さいクセに
以外と大量の鳥のフンは、
見事初老の男の肩にひっかけられていた。

いかにも
さえない感じのこの男。
安雄５３才。
彼女いない歴、５３年。
職業、内職のルート配達。
趣味はパチンコ。
一人暮らし。
借金少々あり…。

仕事の帰り、もう一つの楽しみ宝くじを買おうと売り場に並んでいたのだ。

みんなの手前、バツ悪そうに、フンを拭き取る。

｢…なんだかツイてないな。宝くじ買う前だっていうのに…。｣

順番が来て、無事、20枚手に入れて、家路についた。