💓『学萌』💓

交差点にはご用心

　ピピピピ・・ピピピピ・・・

「ん・・・」

　ピピピピ・・ピピピピ・・・

「んん・・・」

　ピピピピ・・ピピピピ・・・

「んんん・・・」

　ピ・・・
　ジリリリリリリリリリ！！！

「やかましぃわぁ！！！」

　バキッ！！！

　至近距離からの轟音に、俺は思わず右ストレートを放った。購入三日目の目覚ましは無惨にも壁に叩きつけられる。

「そしてここに新たなチャンピオンが生まれた・・・」

「なわけあるかい！」

　隣から聞こえた女の声に即つっこむ。日頃からサンドバックに叩き込んでいるだけあり水月（みぞおち）に見事に食い込んだ。

「お、お兄ちゃん・・・朝からハードＳＭは勘弁・・・がくっ」

「とどめ。」

　俺は延髄（首の後ろ）に手刀を直撃させた。

　さて、起き抜けの適度な運動で目が覚めたことだし、朝飯でも作るか。

　俺は朽木恭介（ｸﾁｷｷｮｳｽｹ）。今は２ＬＤＫのアパートに暮らしている。ってか暮らし始めた。

　俺たちを残して両親が何故か突然外国へと旅立ったからである。

　転校先とアパートの住所だけを告げて。

　しかも全て手続き済み。

「お？　今日はあたしが料理当番でしょ？」

「もう起きたか・・・浅かったな」

「かわいい義妹を殴った罪を償うつもりなんだね。　お兄ちゃんも丸くなったなぁ」

　全力で俺の発言を無視する義妹はいつものことなので、とりあえず無視・・・するわけがない。

「いだだだだだだ！！！」

「ふっふっふっ」

　後ろに周りこみこめかみに拳を当てる。これぞ使い古されたお馴染みのミ○エの必殺技である。

「はい！　そのままで３０秒以内に自己紹介せよ！！」

「へっ！？　朽木千夏（ｸﾁｷﾁｶ）ピチピチ（死語）の１６才！　ムチムチ（意味不明）の女子高生！　好きなものはお兄ちゃんの照れ隠しの暴力的スキンシップ！」

「つまらん。」

「ぎゃあああああああああ！！」

　う～ん絶好調。