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悪魔族が来たせいか、喧嘩はおさまったようだ。
何せ、悪魔族は怒らせるととんでもない目に合うと前例があるのだから。
アシュラが紅茶を用意してセシルに渡した。
「また喧嘩か?」
「今回はタチが悪かった」
「アシュラが本気を出したらおさまるだろう」
「現役の頃はな、今は駄目だ戦いから身を引いたから」
アシュラは洗った食器を片付けて、喧嘩で割れたグラスや皿など破壊された壁の修理代を計算して紙に書いて伝票と一緒に渡しに行く。
「…なぁ、セシル」
アレクは片手で頬杖をつきセシルを見た。
「親父って強いのか?」
「強いさ、悪魔や天使の中じゃ五本の指に入る」
「へぇ…あの親父がねぇ」
アレクは振り返ってアシュラを見ると、彼は外野で見ていた客と一緒に、割れた皿やグラスの片付けをしていた。
「いてっ…」
どうやら指を切ったらしい。
アレクは溜め息を吐いて、その場に行きアシュラの怪我した方の手首を握って血の出た指をくわえた。
「っ…おい」
「んー?…消毒だ、消毒」
「絆創膏あるよー?」
センリもその場に行き、絆創膏を貼ってやる。
可愛らしいコウモリがプリントされた絆創膏だ。
可愛らしい絆創膏と無愛想な父親を交互に見てアレクは笑いを堪えるのに必死でになり、アシュラはは一発アレクの頭を殴ってからセンリの頭を撫でて礼を言う。
センリは嬉しそうに微笑みセシルの所に走る。
目的は一つ。
「センリいい子だな」
兄に褒められる為だ。
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