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そんな事を喋っていると、アシュラが走って奥の部屋に姿を消し、急にどうしたのかとセシルとアレクは互いに顔を見合わせ振り返ると、鎧や兜を装備し槍を持った兵士が二人入って来た。
「…ほう、こんな所に店か」
「いらっしゃい、ここは俺の店だけど?」
アレクはセシルが書いた紙をポケットに入れて立ち上がった。
「調査をしに来た」
「調査?」
「堕天が居ないかだ」
兵士は一人一人客を見てカウンターの傍に来る。
センリはセシルに抱き着き、セシルは堂々と紅茶を飲む。
「悪魔の長(おさ)がこんな所に」
「居たら悪いか?アレクの煎れる紅茶が好きでな」
「カウンターも調べるぞ」
「営業妨害か?カウンターには金庫もあるんだ」
アレクは椅子に座り直して兵士を見る。
兵士達は少し考えて身を引き、もう一度客を調べて店を出て行った。
そして、少ししてアシュラが戻って来る。
「…兵士ってのは苦手だ」
「前科ありだからな、アシュラは」
客にもバレないように、セシルとアシュラはそんな会話を続け、アレクとセンリは大人しくケーキを平らげた。
そして…夕方。
喫茶店はBARに切り替わる。
落ち着いた大人の店。
喫茶店目当ての常連は帰り、BARの常連が集まるのだ。
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