2 0 3 号 室 の 少 女

4/4
14406人が本棚に入れています
本棚に追加
/377ページ
203号室の鍵は、開け放された。 雛月 芹華という不幸な少女は、浄化されようとしている。 わたしは、不幸なんかじゃない。 ただ少し、人より面倒な生き方をしてきただけ。 両親の思い出は、殆んど私の記憶から抜け落ちてしまった。 まだ幻覚として襲って来る母の姿に、顔は無い。 「多分、夢だったんちゃう?」 彼が隣で笑った。 幸せ それは、持って生まれた 『運命』 不幸せ それは、生きてつくる 『宿命』 『ここから、出なくては。』 悲しみに包まれた203号室の少女は、その扉をゆっくりと開けた。
/377ページ

最初のコメントを投稿しよう!