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203号室の鍵は、開け放された。
雛月 芹華という不幸な少女は、浄化されようとしている。
わたしは、不幸なんかじゃない。
ただ少し、人より面倒な生き方をしてきただけ。
両親の思い出は、殆んど私の記憶から抜け落ちてしまった。
まだ幻覚として襲って来る母の姿に、顔は無い。
「多分、夢だったんちゃう?」
彼が隣で笑った。
幸せ
それは、持って生まれた
『運命』
不幸せ
それは、生きてつくる
『宿命』
『ここから、出なくては。』
悲しみに包まれた203号室の少女は、その扉をゆっくりと開けた。
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