204人が本棚に入れています
本棚に追加
雅美はいつも、美術室にこもり絵を描いているらしい。
俺は思い切って行ってみることにした。
ガラガラ……
いた……。俺を気にかけず、黙々と絵を描いている。
『よっ!』
『また、口説きにきたの?由孝くんもそうとうな物好きね。』
『そうじゃないよ!』
俺は慌てて、近くにあった絵を手に取った。
『絵を見に来たんだよ!ん?これは……黒アゲハチョウ?』
『そうよ。私に似てると思わない?黒一色に染まってただ地味にこの世を舞うの……』
確かにこの絵のチョウは悲しげに舞っているように見える……
『なぜあなたは私を追うの?』
『それは……』
罰ゲーム…なんて言えるはずがない。
『美沙子ちゃんは?』
誰が言ったかは知らないが、美沙子と付き合っているという噂が流れているらしい。
『あいつとはなんにもないよ!むしろ苦手だよ…』
『おかしな人…男はみんな美沙子ちゃんみたいな人が好きなんだと思ってた。』
『そんなことないよ!俺は……』
『君が好きだ。でしょ?思ってもないこと言わないで……』
なにも言い返せなかった…
最初のコメントを投稿しよう!