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追いながらマリアンヌは違和感に囚われていた。
何の変哲もない森。名も無き森に僅かの魔力も宿らない。
つまりは、この森に魔力を帯びる物があるということである。
「マリアンヌ!」
手首をノイズの冷たい手が掴む。
「どうしたの?」
マリアンヌがようやく止まると、ノイズは手を離した。
「気付いていますか?
この道は、異界です」
ノイズは淡々と述べた。その言葉に辺りを見回すと、景色がゆらゆらと絶えず揺らめいていた。魔力無き森の中である筈が無い。
それでも、
「行くべきだと思う」
マリアンヌはノイズを真直ぐ見つめ、言った。ノイズも彼女を止めようとしたわけではないので、あっさりと頷いた。
ゆらめく景色は続く。
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