邂逅

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猫は云う。 「扉を開けよ」 金の瞳が爛々と輝く。 マリアンヌとノイズは辺りを見回す。 が、辺りはゆらゆらと揺らめく森の風景。扉などは無い。 しかし 「扉を開けよ」 猫は再び云う。 「開けられぬ者は去るがよい」 マリアンヌは焦っていた。あの猫は何かの番をしている。きっとあと1回の求めが最後だろう。しかし、彼女は扉が分からない。 「全ての中のたった1つの門だけしか与えられてないというのは、辛いね」 ノイズは突然マリアンヌを見た。 そうか…あれは 「マリアンヌ。あれは契約魔です。それはお分かりですね?」 マリアンヌが頷く。 「魔術師に与えられた門は『第3のビナー』ですね?」 再び頷く。 「門…つまり扉を開いて下さい」 マリアンヌが「あ」と声を洩らした。彼女も分かったのだ。 「扉を開けよ」 猫は金の瞳を爛々と輝かせこちらを見つめた。
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