第二章~退院~

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「ずいぶん食欲も出てきましたね。真央さん」 看護婦が言う。 「はい!元気だから早く退院させてって感じですよ」 真央は看護婦に言った。 「元気がいいのは良いことよ。先生に退院できるか聞いてみるね」 そう言って看護婦は病室から出て行った。 「はぁ…病院退屈だなぁ…」 「よっ!」 「たくちゃん!毎日お見舞いありがとう」 「容易いご用」 「ねぇ、たくちゃん。私たちが付き合って何ヵ月たった?」 「何ヵ月?まだ二週間だってーの!」 「そうだっけ?病院にいたらよくわかんなくなっちゃうんだよね」 「なんだよその言い訳」 拓也は笑った。 「退院したらいっぱいいろんなとこ連れていってよね!一応、私の彼氏なんだから」 「なんだよ、一応って」 「さぁーねぇ」 「いつ退院できるんだよ?」 「私元気なのになかなか退院させてくれないんだよね」 「そっか、まだ完全になおってないってことだろ。ゆっくり治せばいいさ」 「そうだよね」 そう言って真央は窓から空を見上げた。 ――。 「たくちゃん。私も好きだよ」 「真央?」 「神様がね生きてって」 「真央!意識が戻ったんだ…。良かった…」 拓也は涙でぐしゃぐしゃの顔で言った。
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