序章~拓也のstory~

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 なんだよ! 玄関をいくらノックしても出る気配がない。 「拓也!」  振り向くと小学校の同級生がいた。 「お前、病院行かなくていいのかよ?」 「え? どういうこと?」 「真央が昨日の夜、交通事故で……」 「どこの病院だよ? 早く言えよ!」 「杉川病院だ」  走った。とにかく走った。真央がどんな状況かしらない。でも、とにかく走った。きつくなっても走った。 真央……。 「はぁ……はぁ」 「拓也君」  真央のおじいちゃんが病院に入ってきた拓也を見てうつむいた。 「真央……」  真央は全身包帯に巻かれて目を閉じている。 「おじいちゃん! なんで真央が……?」  俺は今にも流れそうな涙を抑えて聞いた。 「昨日の夜、拓也君を探すって出ていって帰って来なかったんだよ……。それで今日の朝6時頃に電話が来て真央が事故にあったと……」  おじいちゃんの声は震えていた。 俺のせいで……俺のせいで……。俺のせいで真央はこんな姿に……。 「どうなるんですか! 真央はどうなるんですか!」 「一命はとりとめたそうだ。でも、まだ意識不明、最悪、植物人間だそうだ……」 「そんな……」
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