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倒れてる人物に一歩一歩近づく。
近づくにつれ、心臓が激しく脈打つ。
「……げほっ…だ…いじょ…ぶ…だから…」
苦しそうに女の人に答える男…
ヘルメットから覗くその顏は、記憶とは少し変わっていたが、確かに見覚えがあった。
「なつ…夏希…??」
「…はぁっ…げっほ…誰…??」
なつは目が開かないらしく、不安そうに俺の方に顏を向けた。
「…俺だよ…流…」
「はっ…はっ……な…がれ??」
昔の親友に名前を呼ばれ、なつだと確信して、涙が出てきた。
「お前っ…んで…しっかりしろよぉっ!!!」
いきなり焦りが押し寄せてきて、涙が止まらなかった。
「おいっっ!!!なあ!!なあっ!!!なつっっ!!」
「っ…せぇ…よ…」
自分でも声をおさえられなかった。
こんなに感情を出すのは久しぶりだった。
ただ、こいつだけには死んでほしくなかったから、必死だった。
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