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観覧車から降り、二人の足は一瞬止まる。
「遅くなって悪いけど、あと一カ所付き合ってくれないか?」
「うん…」
そして二人は、遊園地を後にした。
相変わらず、雨に降り続いたまま…リョータは、ぱっと傘を開き光の上へかざした。
歩くにつれ、明るくなってくる風景。どうやら駅の方へ向かっているようだ。
「着いたよ…」
着いた場所は、駅前通りの大きなクリスマスツリーの下。
「大きなツリー~」
リョータは、持っていた傘を光に渡し、静かに口を開く。
「なぁ光…お前にどうしても言わなきゃいけない事があるんだ…
あの時は、本当にゴメン!」
リョータの突然の言葉に、驚きを隠せない。
「急にどうしたの…もう気にしてないよ~確かに当時は、悲しくて毎日泣いてた…三年ぶりに会って、かなりムカついた反面~ちょっと嬉しかったんだよね…もう一生会えないと思っていたから…人は、ずっと恨みつづける事は簡単じゃないよ。ましてや、自分が好きだった人なら尚更だよ」
「俺は、後悔したんだよ…光と出会ってしまった事..好きになってしまった事..そして、光を失いなにもかもなくなった自分自身の事……」
光は、一瞬黙り込んだ後、ゆっくり顔を上げ恐る恐る口を開いた。
「ミユキちゃんの事?」
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