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リョータの表情が少しずつ険しくなっていく。
「身体弱いくせに、いつも強がってばっかり…俺の前で弱音はいたり、涙を見せた事もなかった…体調も不安定だったけど、時折元気で病気が治るってくらいな時もあった…
だけど、病魔は少しずつミユキの身体を蝕んでいった。
けどミユキも病気には勝てなかった。」
一瞬、リョータの声が途切れる。
「あいつ…死ぬ直前、苦しくて辛いはずなのに…
なぜか笑ってたんだよな…
そして、最後に言った言葉…
『リョータも大好きな人とずっと一緒にいてね…」
そう言い残し…ミユキは死んだ」
光は、黙って耳を傾ける。
「ミユキは、知っていたのかもしれない…俺が光と付き合ってた事を・・だから、あんな事言ったんだと思う…
過去の過ちは、けして許されるものではない…
だけど、もう光を裏切らない!
…………好きだ!」
リョータは、光を強く…強く抱きしめた。
「もう離れたりしない…ずっとお前を守るから…」
そう耳元で呟いた。
強く打ち付ける雨
この時、光には別の感情が生まれていた。
雨の中自分を待ってる直人の姿を…
自分は最低…
何回そう思ったか分からない…
だけど、溢れる想いは止められなかった…
直人への思いが、リョータの愛を上回った瞬間
リョータは、目を閉じ
そっと唇を運んだ。
「ダメだよ…
……………ゴメン」
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