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光は走った…
直人の元へ
冷たい雨が容赦なく降り続く。
普通ならもういるはずがない…
だけど…
直人の顔は、真っすぐで素直な目をしていた…
『待ってるから』
あの時の記憶が鮮明に蘇る。
そして、もうすぐ日付が変わろうとしていた…
……直人・・直人..
心の中で何回も叫んだ
そうしているうちに、直人が待ってる公園の前まで来ていた。
一瞬足が止まった。
まだいるのだろうか…
もし、いたら何て言えばいいのか…
次第に強まる恐怖感が光を襲う。
だけど、直人に会いたい…
それが光の背中を押してくれた。
公園の入口に立ち、光が回りを見渡す。
だが、人の姿は見えなかった…
暗い…暗い公園の中
…やっぱいるわけないよね..私馬鹿だな・・こんな雨の中一人で待ってるわけないのにな~……直人に逢いたい………
光の目から涙が零れ堕ちた…
はじめて素直になれた瞬間だったかもしれない…
その時だった…
ガサガサと時計台の下から物音が聞こえた。
さっき死角になって見えなかったのだろう…
そこには、両手に息を吹き掛け寂しそうに待ってる直人の姿……
やっと…やっと逢えた
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