17品目 解答用紙

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「……そうだよ。俺がやったんだ。浅田も阿部川も」 「久志、お前なあ……!!」  久志の言葉にじっと黙って見ていた由貴が腰をあげると、久志の胸倉を掴んだ。怒りを露にしている由貴とは対照的に久志はどこか愉快そうに笑っていた。 「……由貴」 「お前、何笑ってんだ!! 自分が何やったかわかってんのかよ!!」 「由貴!!」  竜が由貴の名前を呼び、落ち着けと視線を送る。それを見た由貴は乱暴に久志の胸倉を掴んでいた手を離し、どかりとソファに腰掛けた。由貴は眉間に皺を寄せ、下唇を噛んでいた。その表情には怒りや悲しみ、驚きと色々な感情が混ざっていた。 「なんで……なんで、こんなことしたんだよ……」  竜はお前のダチじゃねえのかよと由貴は呟くと顔を伏せた。久志は項垂れた由貴を一瞥した後、ソファに深く腰をかけ、背中をもたれさせた。 「……ムカつくんだよ」 「は?」  久志の言葉に由貴は勢いよく顔を上げた。竜も久志の言葉に目を見開いていた。竜も元々社交的な方ではないが、1年のときに同じクラスであり、由貴とも仲が良かった久志は竜にとっても高校での初めてできた友人であったのだ。
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