2品目 メロンソーダの呪い

5/6
前へ
/119ページ
次へ
「ああ……金曜の体育の時になくしたんだよ」  そこそこ気に入ってたんだけど、と竜は不機嫌そうに首元のネックレスを弄った。  由貴は、ふうんと頷いて、納得するとくわえていたストローをグラスに入れて、勢いよく吸い込んだ。その後、ストローから口を離すとおもむろに手を伸ばして、テーブルの端にあるメニューを手に取った。 「何食おうかなー……『ジャンゴさんのジャンゴハンバーグ』か……なんかイラッとする名前だな」 「お前それ毎回言ってんじゃん」 「あー……お財布と相談だ」  メニューと睨めっこをしている由貴に、竜は視線を下に向けたまま淡々とツッコミを入れる。 「竜は?」 「今腹減ってねえし、いいわ」 「そ、」  竜の返事に頷くと、由貴はメニューに視線を戻した。  ドリンクバーセットで今なら半額!というキャンペーンに踊らされて結局ハンバーグを注文した由貴は、2杯目のメロンソーダをちびちびと飲んでいた。 「ここってさー経営大丈夫なんかねー」 「さあ」  以前来たときの賑わいが嘘のように、客数がまばらな店内を由貴はぐるりと見渡した。竜は大して興味もないのか、頬杖をついて外を見ていた。  カラン。  冷房のよく効いた店内でゆっくりと溶けたアイスコーヒーの氷が音を立てた。
/119ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8110人が本棚に入れています
本棚に追加