17品目 解答用紙

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「由貴が放課後、俺を誘うなんて珍しいな。ははー、さては金欠で俺にたかろうって魂胆か?」 「ちげえし。なによー、アタシの愛を疑うっていうの? ひどいわ、あんなに愛し合った仲じゃない」 「気色悪い声を出すな。つーか、いつお前とそんな仲になったよ」 「うっわ、自分で言って鳥肌立ってきた」  放課後。いつものお馴染みのジャンゴではない有名チェーン店のファミレス。  由貴は斜め後ろにいる人物とふざけ合いながら、店の扉を開いた。店内はざわざわと騒がしく、ジャンゴとは大違いの客の多さに由貴は驚きつつも店内へと足を進めた。ドアを入ってすぐのところにあるレジの側に立っていた女の店員が由貴を見て、にっこりと営業スマイルを向けながら軽くお辞儀をした。 「いらっしゃいませ、何名様ですか?」 「あ、二人だけど。先に連れがいるから」  由貴は笑顔を向けてくる店員に、案内はいいと断った。その後、店内をぐるりと見渡し、店内の窓際の端から二番目の四人席に見慣れた好き勝手に跳ねているブラウンの髪を見つける。由貴は一度後ろにいる人物に目をやった後、すぐに目的の場所へと足を進めた。 「ちょ、待てって。先に連れがいるって……」  由貴が迷いなく真っ直ぐにその場を離れたのに気が付くと、後ろにいた人物は慌てたようにその後を追いかけてきた。由貴から先に自分以外にいるとは聞いていなかったのだろう。さきほどの由貴の「先に連れが待っている」という発言に少しばかり困惑している様子であった。  他のテーブルでは家族連れや女子高生らしき4人組み、カップルなど多くの客がテーブルに陣取り、各々会話や食事を楽しんでいた。
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