17品目 解答用紙

10/11
8107人が本棚に入れています
本棚に追加
/119ページ
「そこまでだ」 「ちょびヒゲ刑事……」 「誰がちょびヒゲだ!! ったく、とっととその手を離せ」  由貴の後ろに居たのは、刑事の石崎と岡本だった。石崎は真剣な場面でもボケようとする由貴に呆れつつも、由貴の手を下ろさせた。 「出てくるのおせえんじゃねえの」 「うるせえ」  竜はやれやれとソファにもたれると呆れたように石崎と岡本に視線をやった。  実はこの二人、窓際の端の席、つまり竜達の座っていた四人席の隣で待機していた。由貴が岡本に連絡を取り、真犯人がわかったから来てほしいと頼みこんだのだ。由貴は席を立ち、石崎が久志を立たせるとその腕を引いて手錠をかけた。大人しく手錠をかけられる久志に由貴がやりきれない表情で声をかける。 「……なあ、さっきの言葉。本心じゃねえんだろ……? カッとなって、つい勢いで言っちまったんだろ?」 「…………」 「なあ、なんとか言えよ」  久志は石崎に背中を押され、足を踏み出したが由貴の言葉に足を止めた。由貴と竜に背を向けたまま、淡々とした口調で返事をした。 「……ほんと、バカだよな。お前」 「……なんだよ、それ……」  ファミレス内は突如起こった逮捕劇に、騒然としていた。  竜と由貴はファミレスの前で久志が刑事に連行されて車に乗り込むのを見送った後、複雑な心境のままぼんやりと突っ立っていた。
/119ページ

最初のコメントを投稿しよう!