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杏子はストーカーに五月頃から悩まされており、憔悴しきっていたらしく、そんなとき想い人であった竜から「突然ごめん、同じクラスの奴にアドレス聞いたんだけど」とメールが来たと日記に記されていた。
さらにはそれから竜が杏子を心配し、メールで何度も連絡をとっていたとも記されていた。
全く身に覚えがない話の中に出てくる自分。刑事の話を聞きながら、一体どうなってんだ?と竜は困惑していた。自分は浅田杏子に連絡をとったこともなければ、実際に顔を合わせて話をしたことすらないのに、杏子の日記や携帯には『藤嶋竜』とのやりとりが残されているのだ。
学校でのことや由貴と放課後ファミレスに居座っていること、飲み物は決まってアイスコーヒーだということも。自分の行動が他人の日記に記されている。
竜は、まるでもう一人自分が居るようだと気味悪くすら感じていた。
浅田杏子の携帯には『藤嶋竜』からの最後のメールに、
from:藤嶋竜
題名:無題
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〇〇〇のホテル、203号室で待ってて。
すぐ行くから。
と記されていた。そしてその場所こそが、杏子の遺体が発見された場所であった。
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