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「お前には日曜の夕方からのアリバイもない。お前じゃないなら他に誰が犯人だって言うんだ」
「知らねーよ。やってないものはやってない」
俯いたまま視線だけで刑事を捕らえた。
確かに日曜の夕方は家に居たが、家族は全員外出しており、竜のアリバイを実証してくれる者は一人もいなかった。竜は刑事と睨み合ったままゆっくりと口を開く。
「つーか……そのプリペイド式の携帯を俺が買って使ったっつー証拠はあんの? それにラブホでも監視カメラくらいあんだろ? そこに俺は写ってたのかよ?」
「……調査中だ」
「はあ? あんたら確信もねぇのに人のこと拘束してんの? 最悪」
竜の刑事に対するものとは思えない態度に石崎は、このクソガキ……と小さく呟いた。
確かに竜の言う通り、まだ竜が犯人だと断定するには証拠が足りなかったことは事実であった。石崎は竜を容疑者と決め付けているが、竜はあくまで重要参考人であり、このまま拘束し続けるには無理がある。
「石崎さん」
「なんだ? 岡本」
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