16品目 効果音は効果的に

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「う……まぶし……」  窓から差し込む太陽の光が目をつぶっている竜の顔を照らす。竜はその眩しさに眉そ顰めながら、目をうっすらと開けるとベッドにうつ伏せに寝転がったまま両手を伸ばして、伸びをした。その後、むくりと起き上がるとあちこちに跳ねているブラウンの髪を右手で掻き交ぜ、大きな欠伸をした。  緩慢な動作でベッドから起き上がり、昨夜床に置きっぱなしにした鞄を手に取ると、中から携帯を取り出して開き、画面に表示されている時間を確認した。  時刻は7時を10分過ぎたところであった。  竜は欠伸を噛み締めるとクローゼットから着替えを取り出し、鞄とともに右腕に抱えると、風呂場へと向かった。部屋を出ても下の階や廊下から人の声や物音は全くせず、竜以外の住人が家にいないことを示していた。 「竜ちゃーん! グッモーニーン!」 「言い方が不愉快、出直して来い」 「ガーン!」  朝の通学路を竜は気だるそうに鞄を肩にかけて歩いていた。すると後ろから勢いよく由貴が走って来る。由貴は竜の肩を叩くと、にんまりと目を細めて笑いかけた。  竜は朝っぱらからテンションの高い由貴を欝陶しげに見ると、しっしっと野良犬を追い払うように手を振る。由貴はその動作と言葉に自ら効果音を出しつつ、大げさなリアクションをとった。
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