死神の子

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「おい、小僧」 低く静かな声に身体が反応し、声のする方に目を向けた。 「こんな所で、何をしていたんだ?そんな無防備でいたら食われるぞ?」 そこには長い黒髪をなびかせた、長身の男が立っていた。 綺麗な碧色の目がやけに冷たい……。 「食われる!?」 「そうだ。こいつらはお前の様な子供を食らって生きているからな」 「だからなんだ…僕…怖くて……死ぬんだなって思った」 「ほう…人を殺した事があるのか?」 「!!?そんなのないよ!」 「ないだと?お前死神の子だろ?」 「わかるの!?」 「わかるさ。臭いとオーラでな。お前、親はどうした?」 「……………親なんていないよ…僕は失敗作なんだもん……」 「失敗作?」 「うん…皆が言ってたんだ…僕は使い物にならないって」 「ふ…その容姿だからか?」 「………やっぱ僕って変なの?」 「まぁな」 「…………………」 「だが、使い物にならないなんて事はない」 「本当!?」 「あぁ。死神としての素質はありそうだ。行く宛がないなら俺の所にくるか?」 「いいの!?」 「あぁ。俺が強くしてやる」 「本当?僕もお兄ちゃんみたいになる?」 「それはお前の努力次第だな」 「僕頑張る!」 「辛いだろうがな」 「どうせ死ぬ予定だったんだもん…僕、死ぬ気で頑張るよ」 「ふ…気に入った…着いてこい」 そう言って、スゥっと空に浮かび上がった。 「…僕…飛べない……」 「………;;仕方がないか…まずは飛び方からだな」 そう言って、僕の頭をポンポンと撫でてくれた。 この人が何者なのか知らないけど、何だか一緒にいると落ち着くんだ…。 悪い人じゃない気がする。 だから、僕はこの人に着いていこうって決めたんだ。
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