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「私…今日死者になるんです」
「…そうか。相手は癒羅だったのだな」
「癒羅をッ…知ってるんですか!!??」
「あぁ…彼は優秀な死神だよ。しかし…そなたまで死者になるとは…」
「もう…決めたんです」
「魔界は広く困難も多い…身体には気を付けるのだよ?」
「はい……」
何故…行くなと反対しない…?
人間を守るのも神の役目ではないのか?
“…癒羅…、聞こえるか?”
そんな時、不意に話しかけられた。
湊だ……
“あぁ……”
“この娘は良い娘だ。私は人間の幸せを守る者…この娘が幸せならばそれが最善なのだ”
“なるほど。…俺がその娘に害を加えるとは思わぬのか?”
“何、これでも一応私は神だ。名ばかりだがな…それでも気持ちが悪か善かくらい読み取れるのだよ”
“…聖は思い入れのある娘なのか?”
“私の大事にしていた娘の孫だ……”
“…そうか”
“…どうか大切にしてやって欲しい…この娘がいつまでも笑っていられるように……”
“あぁ…それだけは約束しよう”
そこまで言うと湊の声は聞こえなくなり、再び聖と湊の会話が続く。
「幸せにおなり…」
「ありがとうございます…えっと…湊さん」
「うむ。死者になったらもうここの事は思い出してはいけないよ」
「…どうして?」
「それが掟だからだ…」
湊は優しく微笑むと聖の前から姿を消した。
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