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聖は暫く祠の前に立ち尽くしていたが、暫くすると再度手を合わせ、階段を下ってきた。
「お待たせ」
「あぁ」
「癒羅…湊さんと知り合いだったんだね」
「それはこっちの台詞だ」
何故お前という人間はこうも魔界や天界に知り合いがいるのだ…
「この前、迷いの森に入った時、渚君が助けてくれておばあちゃんが大事にしてた神社の神様に逢わせてくれたの…それが湊さん」
「…そうだったか…最近逢ったばかりだと言うのに律儀なものだな……」
「もうこれないからね」
少し嫌味を混ぜて言ったが、平然とそう返されてしまった。
「他に寄っておく所はあるか?」
「ううん…もういいの。家にも帰らない」
「……いいのか?」
「うん。家族の顔を見たら決心が揺らぐと嫌なの…そのまま魔界へ行くわ」
「わかった」
俺は聖を抱えるとそのまま魔界へと飛んだ。
人間界へ行くだけならいつだって行ける。
人間と関わる事は難しくなるがな……
聖の痛い程伝わってくる切なさを噛みしめながら、俺は聖を自室へと連れていった。
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